あまりに繊細な…。『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』

映画

3月某日
映画の予告でなんとなく気になっていたので見に行く。天気の良いレディースデイだったけど、お客は少なめ。映画のせいか、コロナの影響か…。パンフレットが1000円と高めだったけど、エンタメ応援の気分なので購入。主人公のジョンが甘いマスク、唇が厚め、繊細な表情、イケメンだった。私はテレビドラマの「ゲームオブスローンズ」は見ていないけど、彼のファンなら絶対おすすめの映画だと思う。顔のアップの映像がとても多かったので、わずかな顔の動きで表情が変化するのが良くわかる。

ハリウッドのスターのスキャンダルや、堕落はよくある話の一つだし同性愛も前よりは寛容になっているのでは?とも思うけどパンフレットを読んでみたらやはりそうではないらしい。でも映画をみた印象は主題は外の部分ではなく、ドノヴァン、少年二人の繊細すぎる人間の話なのだろうな、と。スキャンダルを描いている中でも絶対的な悪人は一人もいない。ジョンのスキャンダル相手も最後までジョンを気遣った話し方をしているし、エージェントも冷静に対応している。母とは複雑な感情があっても兄とは仲が良いし、文通相手もいる。でも謎の死をとげてしまう。

以前ある精神科医の「自殺は脳の誤作動」と書いてあるのを読んだけど、その時なるほどなと思った。衝動的で本人も理由が分からないまま死んでいる場合もあるだろうし、本人も分からないのなら周りの人が何を考えても分かるはずはない。不幸な誤作動が招いたことだからだ。でも関わりのあるそれぞれの人の中に苦い重しのようなものを残していく。それは時が経っても変わることはない。

ジョンと密かな交流を持つ少年も繊細な人間で、この少年を演じているジェイコブ・トレンブレイも素敵だった。解説を見たら、既に色々な賞も受賞していて天才子役として知られているらしい。納得の演技でした。

『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』2018年/カナダ・イギリス合作 123分
原題:The Death and Life of John F. Donovan
監督:グザビエ・ドラン
出演:キット・ハリソン、ナタリー・ポートマン、ジェイコブ・トレンブレイ、スーザン・サランドンほか

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